『たのしい川べ』  ケネス・グレーアム

川べに住む小さな動物たちの輝かしい日々の出来事を牧歌的に描いたファンタジー

 動物たちの日々は楽しげで、まさに、子どものごっこ遊びの世界ですが、ちらちらと、大人の皮肉、というか、何かシニカルな感情が見え隠れしていて、楽しくあそんでいるつもりなのに、時々、はっと目を覚まさせられるような気がするのです。

5章の「なつかしのわが家」で、モグラが、(ネズミの家に住むようになってから)ずっと帰っていない家をみつけるところが好きです。
暗闇の中からモグラの鼻先になつかしく呼びかける家の匂い。
「なつかしのわが家!だきしめてくれるような、このうったえ。空をただよってくる、このやわらかい感じ。なにか目に見えない、いくつもの小さい手が、みんな一つの方向に、モグラをひきよせ、ひっぱっているのです!」
でも、この家に一晩とまるだけで、なぜか帰らないの。

ヒキガエルのハチャメチャぶり、迷子になる冒険家のカワウソの子ども、
彼らを何とかしてやろうとするちょっとおせっかいでお人好しの友人たち。
彼らは、私なんかが急に訪ねていっても、快く仲間に入れてくれそうな気がする。