『センス・オブ・ワンダー 』 レイチェル・カーソン

「妖精の力にたよらないで、生まれつきそなわっている子どもの『センス・オブ・ワンダー』をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります。」
「わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではないと固く信じています。」

これらの言葉に出会いたくて、しばらくぶりに読みました。 著者は、「沈黙の春」(未読です)で、環境汚染と破壊の実態を世に先駆けて告発した海洋生物学者カーソン女史。
甥のロジャーとともに、海辺や森を歩きながら、自然の輝きを五感すべてで感じようとする、詩のように美しいエッセイ。

好きなのは、森で、子どもの指ほどのトウヒの苗をみつけ、「これはリスのクリスマスツリーね」と 話すところ。
森の苔の眺めを熱帯のジャングルに喩えるところ。這い回る虫が大木の間をうろつくトラのようにみえるところ。

この本を読むと自分のまわり中に、宝石のようにきらめくさまざまな不思議が、気づいてくれるのを待っているような気がしてくる。

「地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとにであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけ出すことができると信じます。」

子どもといっしょにゆっくりと、自分の中のセンス・オブ・ワンダーを育てていきたい。
今日は、
日ごとに小さくなり数も少なくなってきた青い朝顔の花が、秋が近いよーと言っています。蝉の声も変わりました。

  (センス・オブ・ワンダー=未知のもの、神秘的なものに目を見張る感性)