『馬と少年 』 C・S・ルイス

長女は3年生のとき、読み聞かせで、この本に出会っている。
この本を読んでいる時、「これとすっかり同じやりかたで旅してみたい」と言っていた。このとき、彼女の想像の世界に“くりりんご”という名前の物言う馬が現れて、ときどき、ふたりで冒険をしていたようだ。私はたまにその世界を覗かせてもらう栄誉に浴していました。それは、とても楽しかった。

次女はあまり夢中にならなかった。おもしろいとはいうけれど。
「コル王子なんていやだなあ、シャスタのままでいてほしかった」
と、感想をもらしていたが。
壮大なファンタジーより、身近な動物や子どもたちの世界が、好きな子なのかもしれない。

二人の子ども、性格も違うし、好きなものも違うなあ。

暑い暑い夏の盛りには、カロールメンの都や、砂漠の旅の描写は、息苦しい。人間も息苦しい。
暑いと物が考えられない。直情的になっていくのもわかるような…

生まれも育ちもちがう4人が共に旅をする。
共に旅するうちに、自分のことも相手のこともだんだん見えてくる。
それぞれの持っている弱さを克服していく。
アスランに導かれながら。
峠で、シャスタの前に現れたアスランは、大きく、美しかった。(ここで、聞いている子どもも にこりとして。)
砂漠を経て、たどりついた北の国の爽やかな空気が気持ちよかった。

リューン王の語る王様の心得。
「はげしい攻め戦ではいつも先頭に立ち、必死の逃げ戦ではいつもしんがりをつとめ、そして国内に飢きんがあれば、国民のだれよりも貧しい食べ物を食べながらも、誰よりも立派な衣服を着てだれよりも大声で笑ってみせる、これが王というものじゃ。」