『小さい牛追い 』  マリー・ハムズン

志賀高原へ行って来ました。緑の中、鳥の声が降ってくる中で、この本を読みました。

もらった長い赤鉛筆を薄紙につつんで大切にしまう気持ち、
薪のお礼にもらった白樺の皮を編んだ籠が自慢でたまらない気持ち、
持っている数冊の本を何度も何度も読み返す本好き…

十歳と八歳の男の子、ほんの小さな子どもが、時には子どもらしく遊びに夢中になっても、自分の責任感だけは決して手放さない。
逃げた牛を探して、疲れ果てて森の中で野宿する十歳の少年が、八歳の弟(いつもはけんかばかり)を思いやる。
この子たちは、私より多くのことを知っている、生活の多くの知恵を持っている。と思いました。

また、雨の日に、山の上で、濡れながら、「あたたかい炉があり、おかあさんが、かわいたシャツを用意してまっていてくれる家へ帰っていくのがどんなにたのしく思えたでしょう。」
私の子どもたちも、こんなふうに心躍らせながら帰ってくるのだろうか、私は、出て行ったものたちが帰ってくる事が楽しい事だと感じられるような待ちかたをしているだろうか、と、考えました。

山の風景が素晴らしい。
美しい山に似た人々のおおらかな愛情と、ユーモアの心。生きる知恵。
怠け者の私が、たくさんの労働を分かち合うランゲリュード農場の家族をうらやんでいます。

物があり、ほしいものは大抵すぐに手に入る私の暮らし。物を豊かに手に入れれば入れるほど、別の豊かさを手放していく私の暮らし。
わかっているのに、私には、今の暮らしを捨てることができないのだけれど。