カニグズバーグの他の作品(「魔女ジェニファとわたし」「ティーパーティーの謎」「クローディアの秘密)に比べて、これは殊更に理屈っぽいような感じがする。 超然と生きる、でもとても繊細なバーナデットはかっこいい。 他人と迎合することなく、自分の生き方をつらぬく勇気がわたしにはない。 バーナデットは確かにある意味、現代の魔女かも。 ワンダのアパートで弁護士に自分の意見をいうところ。 「公職に立候補するとか、公職にある人を動かそうとするのでないかぎり、わたしが何をどう考えようと、自分の意見に対して権利があるように、自分の考えを発表しない権利もわたしにはある…」 過去のコミューンでの協同生活について彼女が話すところ。 「みんなの考え方ではあっても、必ずしもわたしたちの、つまりニックとわたしの考えじゃないものに、ニックは従わなきゃならなかった。たくさんの人がニックにかかわれば、たくさんのことを教えてくれるはずだって思ってたけど、そんなこと、まちがっていた。」 かっこいいんだけど、あまりにもまっすぐ、作者のメッセージを、間違いようも無くストレートにこちらへ向かって主張されると、一読者としては、ちょっと引いてしまう。 でも、確かにおもしろい。ここまで収拾がつかないくらいこんがふらがった状態で、どうやって終われるのかと思ったら、見事なハッピーエンド。 ほっとすると同時に、ほんのちょっと不満もありました。あまりにもきれいにまとまりすぎている! 外部からの助けを得て、引っ張りあげてもらったみたいで、そんなのずるいよ、という感じも残りました。 主人公の女の子クロエ。 カニグズバーグの本に出てくる女の子はみんなそうだけど、悪女の素質ある。というより、しっかり一人前の悪女だなあ。侮りがたし。 大人をやりこめるせりふのひとつひとつが痛快で、読んでいて思わずにこーっとしてしまう。 クロエのおかげで、理屈っぽいバーナデットのせりふがいやらしくなくなっている。 ひと夏を経て、クロエの成長がすがすがしい。 |