『なつかしい本の記憶―岩波少年文庫の50年― 』 岩波書店編集部編

岩波少年文庫に関わった人々の対談・講演・エッセイをまとめたもの。読書案内にもなっている。

未読のたくさんのおもしろそうな本が出てきて、図書館へ行きたくなりました。

岸田今日子さんが、自分が児童書を読んだ頃は、三期ある、という話をされていた。一期は子どものころ、二期は二十歳頃、三期は結婚して母親になった頃。
「わあ、私、あの岸田今日子さんとおんなじだ!」と言ったら、おこがましいのですが、すぐれた児童書は、離れては戻り、離れては戻りして、そのたびごとに、新しい発見や出会いがあるものなのだと思いました。何度も出会いながら自分の成長もまた、確認していくのかもしれない。

「子どもの本というのはいくつになっても読める。しかも読むたびに新しい発見があり、私にとっては老後の楽しみよ」  ―中川季枝子―
「だいたい、すぐれた児童文学にはすぐれた大人が出てくるから、大人になって読んでも心づよい。そのへんの育児書よりよほど役に立つ。…児童文学の本には真実がある。ほんものの価値あるものが、いっぱい詰まっている。」  ―中川季枝子―
「(ファンタジーについて)想像力をのばさない人生というものを考えてみれば、いくら特別の料金を払っても、ファンタジーをのがしてはならないという気がいたします。」  ―瀬田貞二
「成長期に、ごく自然に文学を生活にとりこみ、いい本にめぐりあえた人は仕合せである。なぜならば、その人は、半ば無意識のうちに、自分の中に、生きてゆくのに必要な美の標準を心の奥ふかくとり入れ、目の前のものに流されずに生きていくことができるから、という信念めいたものを、私は持っている。」  ―石井桃子

もっともっと良い本に出会いたい、子どもたちにも忘れられない本との出会いをしてほしい、と、心から思います。