すてきなルーちゃん

すてきなルーちゃんすてきなルーちゃん
たかどのほうこ
偕成社


ルーちゃんはつんちゃんのママの妹で絵描きです。
絵を描きながらお話をしてくれます。


つんちゃんが学校から帰ってきて、きょうあったことを話す。
不思議だな、ヘンだな、どうしてなのかな、と思ったこと。
ときには腹のたったことも。
そうすると、ルーちゃんはいつも手を休めて、「こういう子を知っているわ。名前は・・・」と始めるのです。


お話の主人公たちはつんちゃんのよく知っている子に似ているような、全然知らない子のような。
お話は、どこかで聞いたことがあるような、はじめて聞くお話のような。
不思議で、どこかとぼけたユーモアがあって、おしまいまで聞くと決まってとっても楽しい気持ちになるのです。


そうして、お話の世界に浸ることで、現実から一歩しりぞいて、少しだけ違う人の目で物事を見る余裕も生まれているような気がします。
お話はなーんにも強要していないのにね。


月火水木金土・・・お話を聞きながら、つんちゃんは、ルーちゃんの絵が少しずつ変わっていくのを眺めている。
ずっと読んでいるとお話と絵がまざりあっていくような不思議な感じになってきます。
どんな絵になるんだろう。


最後の最後に、読者もまた別のお話を聞かせてもらったような気がします。
たかどのほうこさん作・絵のこの本の最後にイーゼルに乗せられたルーちゃんの絵が出てきます。
このルーちゃんの絵を本当に描いたのは、さてさてだれでしょう。
作者さん同志が目配せしあって笑っているような気がしてきました。
それを見ながら、もっともっと楽しい気持ちになってきた。
あ、これ、もしかしたら、私たち読者のために、ルーちゃんが最後に聞かせてくれたお話?