ちいさなくも

ちいさなくもちいさなくも
エリック・カール
もりひさし 訳
偕成社
★★★★


雲を眺めるのは楽しい。どんな雲でもいい、雲のある空は楽しい。

この絵本の主人公(?)はちいさなくも。
大きな雲たちと逸れてしまったちいさなくもは、さまざまなものに姿を変えて遊びます。

この絵本をみていたら、子供が小さかったとき、迷子にしてしまったことを思い出しました。
人ごみで、子供を見失い、必死で探して探して、やっと見つけた、その子は、自分が親と逸れたということにも気づかぬ風で、余念なく、ごっこ遊びの主人公になりきって遊んでいたのでした。
ばたばたと通り過ぎたあの時代ですが、今にして振り返れば、子供は親を絶対的に信じてくれていたのだなあ、と思います。
自分が迷子になるはずがない。離れていても、自分から見えなくても、親が自分を見失うはずがない。親が自分から目を離すはずがない。
きっとそう信じられていたのかもしれない、と思うのです。(綱渡りみたいな子育てだったのにね、ごめんね。)

この絵本を見ながら、ちいさなくもに、幼かった子供を重ねていました。