本の妖精リブロン

Lib
本の妖精リブロン
末吉暁子
東逸子 挿絵
あかね書房
★★★


アミは、田舎から転校してきたばかりの本好きの小学4年生。
転校先の学校には大きな図書室があったけれど、利用する子はあまりいないみたい。
アミは誰もいない図書室で本の妖精リブロンと出会う。リブロンは本の案内の役目をする妖精だけれど、子どもたちがあまり利用しないため、このまま本のしおりにされてしまいそう。
そこで彼を救うべき使命をアミは与えられるます。本好きには楽勝の使命でしたが、これが「使命」ともなると結構大変で。
それでも本の半ばぐらいでなんとか到達、終了・・・かと思ったら、達成のごほうびが与えられ、新たな冒険が待っていました・・・

本好きな少女はきっと大好きになるんじゃないかな、このおはなし。
「おはなし」の楽しさがいっぱい詰まった、かわいい本でした。
アンデルセンの「火打ち石」のお話を知っていたらなお一層楽しめるだろうけど、知らなくても、冒険の楽しみは半減しません。わくわくしながら読みました。
もとのお話を知らないから、登場人物がほんとうはどんな人間なのかわからず、どこに肩入れしたらよいのやら、などと思いながら読むのも楽しいです。
アンデルセンの「火打ち石」を読んでみたくなった。ここからアンデルセンに飛べれば読書の世界がまた広がるわけです。

また、少女と妖精と本のお話、というだけではなくて、現実の世界で友達関係をさらりと織り交ぜてあったり、ちょっとしか出てこない担任の先生が最後にとても印象に残る人になったり、
冒険のあとも、現実の世界で、もっとすてきな「冒険」が始まりそうな予感を残してくれて、読後感もよし、です。

東逸子さんの挿絵が、妖精やお話の世界の雰囲気に、まさにぴったりで、きれいでした。
図書室にこんな妖精がいたらあってみたいなあ。司書さんがいないから、そのかわりだったかな(笑) でも、いたずらな妖精でも、人の頭の上から本を落とすのはわたしとしてはいやだったなあ。違う表現方法はなかったのかな。