絵で見るある港の歴史

Minato_2
絵で見るある港の歴史
    ――ささやかな交易の場から港湾都市への10,000年――
スティーブ・ヌーン 絵
アン・ミラード 文
松沢あさか 訳
さ・え・ら書房
★★★★


ゆっくり眺めて楽しみたい細密画の大型絵本です。
石器時代のおだやかな入り江に、貝を拾う人々が集まり、漁が始まり、物々交換から、やがて、小さな漁村が生まれます。ヨーロッパのどこかの港です。
そして、その漁村は、ローマ帝国の支配を受けたり、バイキングの襲来に見舞われたり、・・・
定期市がたったり、奴隷船が出たり入ったりしたり、輸出入に高い税金が掛けられたり・・・
小さな漁村はやがて立派な港湾都市に成長していくのです。

美しい細密画は見飽きることがありません。
建物の変遷を楽しみ、人々の暮らしの移り変わりをながめ、
ウォーリーを探せ」のようなおなじみの服装のへんてこな伯父さん(各ページにひとりかくれている)を目を皿のようにして探します。
絵の枠の外に、絵をとりまくようにして書かれている小さな説明書きや質問に導かれるままに、絵のなかをさまよっているうちにいろいろな隠し絵に気づいたりします。(あ、こんなところから奴隷が逃げ出してる)
繰り返し眺めても何か発見がある。

何度も開き、目で散策しているうちに、最初気がつかなかった思いもかけない風景にめぐり合う楽しさにわくわくします。
まだまだ、ゆっくり楽しもう。図書館の返却期間ぎりぎりまで。