2月の読書

2月の読書メーター
読んだ本の数:4
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プラヴィエクとそのほかの時代 (東欧の想像力)プラヴィエクとそのほかの時代 (東欧の想像力)感想
以前読んだトカルチュクの作品、『昼の家、夜の家』は、留まる物語だった。『逃亡派』は移動し続ける物語だった。そして、『プラヴィエク…』では、留まることと、移動し続ける(出ていく)ことが、重なっている。白い川と黒い川が合わさって川になったように。「プラヴィエクは宇宙の中心にある」神話のようだ。
読了日:02月11日 著者:オルガ トカルチュク
カッコーの歌カッコーの歌感想
これは少女の自分探しの物語。そして自立の物語。不思議な世界と現実の世界のあわいを軽やかに走り回るが、その冒険は、狭くて濃い家庭のなかでの子どもの葛藤の写し絵だ。「世界は壊れて、変わって、踊っている。いつでも動いている」おおらかに、自分自身の歌を歌いながら我が道を進んでいけたらいいと思う。
読了日:02月08日 著者:フランシス・ハーディング
ベストマン (児童単行本)ベストマン (児童単行本)感想
この物語はリチャード・ベックの遺作なのだそうだ。最初から最後まで賑やかで、ことに後半は、パーティに次ぐパーティの物語、作者自身による最高のお別れセレモニーのようだ。朗らかに笑いながら去っていかれる姿が思い浮かぶ。これまでに三〇冊以上の作品を生み出している、とのことなので、まだの本たち、翻訳されたらいいなあ。
読了日:02月04日 著者:リチャード・ペック
とんがりモミの木の郷 他五篇 (岩波文庫)とんがりモミの木の郷 他五篇 (岩波文庫)感想
ちいさな港町に暮らす、さまざまな人生が、夏のみ滞在する語り手の前に、次々に広げられるが、どの物語も、もはや過ぎてしまった。語り手の前に現れるのは、穏やかな目をした、老境の人ばかりだ。事件らしい事件は一つも起こらないし、大きな盛り上がりはない。相手の孤独を邪魔しない知恵を持った老人たちが暮らしている。
読了日:02月03日 著者:セアラ・オーン ジュエット

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